そのままでいいじゃない

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中田敦彦のYouTube大学「エクストリーム三国志」を見て気付いた点

先日YouTubeの人気動画シリーズ「中田敦彦YouTube大学」で「エクストリーム三国志」がアップされました。

あっちゃんが三国志の人物になりきりながら三国志のお話を面白く話してくれる楽しい動画でしたが、「中田敦彦YouTube大学」には間違いもちらほらあるという話がささやかれている今日この頃、「エクストリーム三国志は大丈夫なの……?」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、私が動画を見て気付いた点を箇条書きで紹介してみようと思いますが、その前にちょっと前置きを書かせて下さい!

まえおき

さて「エクストリーム三国志」ですが、私が見てみた感触としては、いくつかの間違いはあるものの、三国志を全然知らないという人に興味を持ってもらうための動画としてはほとんど問題ないと思います。

なぜかというと、三国志のことをある程度知っている人は間違いに気付くし、それに気付かないくらいの三国志入門期の人ならあっちゃんと同じことを言っても恥ずかしくないからです。

あっちゃんは恐らく、三国志にさほど詳しくない状態から、一生懸命勉強をして動画を作ったのだろうと思います。一生懸命勉強した人レベルの動画です。そのレベルの間違いを入門期の人がしても全然恥ずかしくないです!

そして、間違いのあった箇所はほとんどが受験に出る内容ではなかったので(※)、実害はほぼないと思います。

(※ホワイトボードで羅貫中の名前に誤記がありましたが、羅貫中は受験に出るかも!?
ホワイトボードに書かれたあの文字をそのまま記憶できるくらいの人なら教科書で少し見ただけの羅貫中も覚えているだろうし、仮にそこを間違って覚えてもそれを補ってあまりある記憶力を持っていそうですが……)

それなりに勉強して良心的に作られた動画だと感じました。
良心的でも意図せざる間違いがあるのはしかたないことかと。
専門家じゃないから間違うこともある、という前提で楽しめばよいのではないでしょうか。

あっちゃんは「三国志マニアのための動画じゃない。三国志全然分かんないというゼロの人のためにお届けする」と言っていましたが、その目的の動画としては充分だと思います。

三国志の登場人物になりきりながらとても面白く話しておられたので、これで三国志に興味を持つ人が増えたらいいな、と思いました。

動画を見て気付いた点

さて、本題です。無味乾燥ながら箇条書きにします。

・最初のほうで正史と演義の説明があり、世間で三国志と言われもるのは三国志演義のことだから演義の話をするという方針が告げられました。その際「三国志演義」という字幕が出ていましたが、「=」ではなく「≒」がいいと思いました。

・全四回のなかのペース配分がおかしい(前半に力を入れすぎ?)と思いました。
  第一回:十常侍
  第二回:何進VS張譲
  第三回:袁術と対決~
  第四回:孫劉同盟~

・ホワイトボードで「羅貫中」が「羅漢中」と書かれる誤記があります。

三国志演義の説明で、羅貫中が書いたものは漢民族ナショナリズムと蜀正統論が主眼だが、後に毛宗崗が編集を加えたものでは仁義が強調され、漢民族ナショナリズムのウエイトは落とされているという説明がありました。毛宗崗本では古い版本と比べて漢民族ナショナリズムのウエイトが落ちているのかどうか私は知らないので詳しい方に教えてもらいたいと思いました。(これはあっちゃんの問題ではなく私の問題です)

・毛宗崗本で強調されているのは仁義ではなく、関羽の義と諸葛亮の忠ではないかと思います。

三国志演義劉備が主人公とされた理由について話す際、漢民族ナショナリズムとからめて「劉備漢民族の末裔」だから、と説明されていましたが、漢王朝の「漢」は民族の名前ではありません。

三国志の最後は魏の軍師が生き残ってトップになるという説明を聞きながら、司馬氏は軍師……? と思いました。

・三国の誰も天下統一しないことを「諸行無常」と表現するのに違和感を覚えました。

劉備のことを「横取り劉備」と呼ぶのはあんまりだと感じました。

・黄巾軍の戦い方について「天、地、人」という三つの役割を作りながら戦っているという話がありますが、それは三国志演義の描写ではなく漫画の「蒼天航路」の描写ですね?

赤壁の戦いについて「曹操が初めて大敗北を喫する」と言っていましたが、それ以前にも大敗北は何度かあると思います。

以上、いろいろ書きましたが、一生懸命勉強していらっしゃるとは感じましたし、楽しい動画でした。

どう受け取るかはご覧になる方が各自で判断していただきたいと思います。

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