そのままでいいじゃない

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「見える化」と「ワンチーム」がイヤな理由

先日「見える化」という言葉が気持ち悪いという記事を書きました。
日本語として違和感があるけれども誰にでも意味が分かりやすく、職場の課題を整理するという限定したシチュエーションで使う特別な用語としては便利である、という内容でした。

記事を書いた後にもどうにもすっきりしません。
見える化」が気持ち悪いのは日本語としておかしいからという理由だけではない気がするんですよね。
「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれた「ONE TEAM」(ワンチーム)にも似たような気持ち悪さを感じます。
※以下、出典に近い「ONE TEAM」は「ONE TEAM」、私が気持ち悪い「ONE TEAM」は「ワンチーム」と書きます。

頭が悪そうな印象

見える化」にしても「ワンチーム」にしても、それを使っていると頭が悪く見えそうな気がするんですよね……
見える化」は日本語としておかしいから分かりますが、「ワンチーム」は何故なんでしょう。
2019年ラグビーワールドカップの日本代表が「ONE TEAM」の精神でチームをまとめてきた姿には素直に感動したのですが。

「ワンチーム」が使われるシチュエーション

2019ユーキャン新語・流行語大賞 年間大賞の出典であるラグビー日本代表に関しては「ONE TEAM」に全く嫌な感覚は抱きません。

私が嫌いなのは職場のミーティングや飲み会で気軽に使われる「ワンチーム」です。

「同じグループで仕事する者どうし、ワンチームの精神で頑張りましょう」
「我々はワンチームとして助け合う存在です」

チーム作りのための真摯な取り組みをせずして、魔法の呪文みたいに「ワンチーム」を振りかざしてチーム一丸となることを強要してくるんですよね。
そりゃあラグビー日本代表は素晴らしかったですよ。
あんなふうになりたい。
みんなのそんな気持ちを利用して、チーム作りの努力をすっとばして虎の威を借り、チームの中で一人一人が抱えている問題を押しつぶしてしまう言葉です。
そんな言い様を耳にすると、お手軽に「ワンチーム」って言っときゃなんでもうまくいくと思っていやがってこのすっとこどっこい! って思っちまいますな。

見える化」が使われるシチュエーション

見える化」にしても似たような嫌悪感を抱きます。
おそらく、最初に「見える化」という言葉を使い始めた大きなメーカーさんでは、職場での課題の整理と改善に真摯に取り組んでおられるのだろうと思います。
そうした取り組みのことを「見える化」と呼ぶのなら、さして嫌な感情を抱くことなく業界用語として受け入れましょう。

しかるに、私がよく目にする「見える化」は、グラフやチャートを作りさえすればたちどころに業務が改善するとでも思っているかのような思考停止状態の「見える化」なんですよね。

「ちょっとこの記録を調べて『見える化』しておいて」

こういうの、大抵データをまとめる手間が増えるだけなんですよね。
そうしてまとめられたデータを見て、業務改善に取り組んでいるかのような満足感を覚える。
どういうアプローチで「見える化」してそれをどう活かすかという思考が抜けているんですよ。
こういう「見える化」の用例を目の当たりにすると、「見える化」という言葉を使うだけでなんだか頭悪そうだなと思ってしまいます。

まとめ

課題を整理して業務改善につなげていくための「見える化」なら歓迎ですし、チーム作りに真摯に取り組んでいるリーダーがとなえる「ワンチーム」には説得力があります。
しかし、なんの努力も工夫もなく思考停止状態で「見える化」や「ワンチーム」などという言葉をとなえ、それさえ言えばあらゆる課題が雲散霧消する魔法の呪文のように使い回している人間を見ると、率直に言って馬鹿にしか見えませんな。
見える化」と「ワンチーム」は往々にしてそういう使われ方をしているから、いやですね。